皆さん、おはようございます。【自衛官(公務員)のための営業職入門】も6日目となりました。本日は「第1章 法人営業で求められるもの~なぜ営業マンは存在するのか~」の2回目となります。

前日は「営業職とは何か?」という問いに対して、思いついたことを列挙してみました。復習を兼ねて前日の内容を箇条書きにしてみます。

営業職とは・・・

  • 企業を代表して来ている、交渉の窓口である
  • 顧客のリクエストを一手にまとめあげ、社内に伝える人物である
  • 値引きの権限を持っており、カネが絡むことに詳しい
  • 納期や品質など、取引全般について詳しい
  • 業界や企業内のことに詳しく、多くの情報を持っている
  • 「営業」という文言には、様々な意味が込められている
  • サッカーに例えればフォワードである
  • 売上ノルマに追われ、一喜一憂している
  • 企業経営者から給料をもらって生活している

おおざっぱですが、営業職とは、このようなヒト達です。官民問わず、組織運営において重要な要素は、「ヒト・モノ・カネ・情報」と言われますが、営業職は「商取引に必要なモノ・カネ・情報について、知識と経験を有するヒト」と表現することもできます。つまり営業職とは、知的な職業とも言えます。

営業職の人間性に焦点をあてると、彼らは心の機微を知っており、気が利くタイプです。意外と情にもろく、人望がある方も多い。損得勘定抜きで、目の前の相手に喜んでもらいたいというサービス精神旺盛なタイプであったりもします。困難な状況も経験しており、トラブルが起きても我慢強く行動し、時には顧客や社内を説得し、物事にケリをつける人材でもあります。

こうして書いてみると、営業職とは、まるで組織のリーダーのようです。実際に企業経営者は営業経験者が多く、彼らにお会いして話を聞いてみると「若い頃の、あの営業マン経験があったから、今がある。」と言う人が多いのです。

営業職について詳しく知るために、視点を変えて、企業経営者にフォーカスしてみます。経営者は、起業した当初は数人でスタートします。なんとか、もがくように売上をあげて、「ようやく3年たった」「5年間つぶれずに、やってこれた」なんて言いながら、少しずつ会社が大きくなっていきます。実績を積み重ね、商売の勝ちパターンを構築できた頃には、人手不足になっており、人を雇うことになります。経営者がやっていた営業行為を、今度は高い給料を払って人を雇い、商売を教え込んで、「うちの顔として、しっかり頼むぞ、売上をあげてきてくれよ!」と送り出します。これが、営業職と呼ばれる人達です。商売の勝ちパターンができたわけですから、営業職を雇えば雇うほど、売上が上がります。東京・大阪・名古屋・札幌・福岡など拠点を増やし、全国で売上をあげます。さらに会社を大きくしたいと思うと、ますます営業職が必要になります。増えた営業職を管理するため、支店長や営業部長という中間管理職をつくります。そして営業職が売上を上げることに専念できるように、新規事業開発や広報の部署をつくります。このような伸び盛りでエネルギッシュな企業の経営者が、期待を込めて送り出す人物が、営業職だと言えます。

自衛官(公務員)の皆様が民間企業に再就職したら、職務内容やポジションは人それぞれでしょうが、大きな枠組みで考えると上記のような企業組織の一員となるわけです。

ここで改めて、第1章のタイトルを振り返ると、「法人営業で求められるもの~なぜ営業マンは存在するのか~」でした。

なぜ営業マンが存在するのか、それは会社に売上を持ってくるためです。「売上」を、もっとダイレクトに表現すれば、現金(キャッシュ)です。なぜ現金(キャッシュ)が必要なのか、それは納税・給与支払・外部への支払で、現金が必要になるからです。これは、「営業にはなぜノルマがあるのか」という話題にもつながってきますので、後でまた詳しく語ります。

繰り返しになりますが、営業職の責務とは、いかにスムーズに現金(キャッシュ)を増やすか、だと言えます。そのためには、営業職には次のような業務が発生します。

  1. 見込み客や、案件を探す。
  2. 見積書や、企画書をつくる。
  3. 見込み客に、提案する。
  4. 受注できたら、契約書を交わす。
  5. クレームなく納品できるように、努力する。
  6. 請求書を発行する。
  7. 入金を確認し、未入金なら催促する。
  8. アフターフォロー。

営業職として必要とされる能力は、おおよそ上記のような内容です。これが普通に出来て、ノルマさえ達成できていたら、優秀な営業職だと言えます。もっとも、1~8すべて得意という営業職は、そうそういません。誰もが得手不得手があり、営業職同士あるいは経理部や営業事務と協力しながら、業務を遂行しているのが現実です。

ざっと上記の項目を読んでみて、いかがでしょうか。「営業の仕事も、そんなに難しいことじゃなさそうだな」と感じていただけたら、嬉しいです。

書類作成やプレゼンは、(私のように)ヘタくそな民間人よりも、自衛官(公務員)の皆様の方が得意かもしれません。ちなみに、「5.クレームなく納品できるように、努力する」という項目がありますが、これは業界・商品・サービスによって異なりますので、転職した後で知識を身につければOKです。1年も実務をやれば身につくでしょう。

実は営業で一番、難しいのは、「1. 見込み客や、案件を探す」なのです。これが新規営業と呼ばれる業務です。新規の顧客を、お金になる案件を、どう発掘するか、これが難しいのです。イントロでも書きましたが、この業務が苦手な営業職は、とても多いのです。そして私にとっては、最も得意とする業務が新規営業であり、このノウハウをブログでお伝えしたい、というお話でございます。詳しくは第2章で書いていきます。