皆さん、おはようございます。【自衛官(公務員)のための営業職入門】も21日目となりました。本日は第4章「確実にアポを取る話し方」の五回目です。前回までは、受付を突破するテクニック「受付突破編」でした。今日からは「担当者攻略編」です。法人相手の新規営業は、受付攻略が最大の難関です。担当者(または経営者。)は、ビジネスライクに紳士的に対応しますから、メンタルが凹むことはありません。そうは言っても、せっかく受付を突破できたのだから、担当者とアポを取りたいと思うのが人情です。というわけで、「担当者攻略編」では、どうアポイントを取得すればよいのか、その技術を書きます。

担当者と話すコツ

担当者に話す内容も、まずは台本通りでOKです。「受付突破編」で学んだように、声のトーンに注意しましょう。「ゆっくり、落ち着いて、低い声で」この3つを必ず守りましょう。ここまでは共通点です。それでは、受付を相手にする時に比べ、担当者を相手にする時は、どのようなことに留意すればいいのでしょうか。担当者には、「信頼性」と「メリット」を、一言で端的に伝えることが重要です。

「信頼性」といっても、難しいことではありません。普通の会社、まともな会社であることが伝われば良いのです。詐欺会社や、あやしい会社だと思われなければ大丈夫です。もしあなたが勤務している会社が上場企業(グループ会社も含む)なら、まず問題ありません。社歴が20年以上あれば、業界でも地域でも知られた存在になっていますので、大丈夫でしょう。まだ小さい会社で働いている場合は、相手の警戒心を解くことに専念しましょう。と言っても簡単です。例えば「お近くの会社です」とか「この前テレビで取材されました」とか「市役所と多数お取引いただいています」とか、それくらいの「一言」で良いのです。近くの企業へのテレアポであれば、近所の企業であることをアピールしましょう。発注側にとっても、距離が近いというのは大きなメリットです。メディア露出が多いことや、役所や大企業との実績も、安心材料となります。

「メリット」も、例えば「新卒採用に役立つ、採用ツールをご提案したい」など、ありふれた内容でOKです。テレアポの段階で、商品内容をクドクド説明する必要は、一切ありません。相手から求められない限り、詳しく説明してはいけません。

なぜなら、法人営業においては「タイミングがすべて」だからです。必要とされるタイミングなら、担当者が目の色を変えて探しています。必要とされないタイミングで売り込んでも、相手にされません。大切なことなので、繰り返しますが、「法人新規営業は、タイミングがすべて」なのです。どんなに信用ある大企業でも、どんなに有名な商品でも、どんなにメリットがある提案でも、相手が今現在、必要としていなければ全く意味がないのです。例えばデザイン会社の営業マンが、WEBサイトのリニューアルでテレアポしたとします。相手が「いま着手したばかり、リニューアル中だよ。」と言われると、手の打ちようがありません。クルマを売る場合でも「買ったばかりだよ」と言われたら、どうしようもありません。お腹いっぱいの時に「最高級レストランのディナーが半額です」と言われても、食べられませんよね。それと同じです。

逆に言えば、「今は」必要とされていなくても、半年後や1年後には必要とされるかもしれないのです。営業やセールス全般において、「タイミング」というのは大変重要です。新規営業において大事なことは、「必要な時に、思い出してもらえること」なのです。法人営業では、たいてい3社~5社の相見積もり(あいみつもり)で勝負が決まります。いざ案件が生まれた時に、あなたに声をかけてくれる担当者が何人いるか?これが決定的に重要なのです。

話を戻しますが、担当者相手にテレアポする時は、「信頼性」と「メリット」を伝えて、「ご挨拶で訪問させてください」と言えば、それだけでOKです。後は、相手が判断することです。「なんとか名刺交換だけでも」など懇願する必要は、まったくありません。相手の反応に注目するのです。「注目」といっても、テレアポなので目でみるわけにはいきませんが、相手の声・話し方・気配で、相手の本音がわかるのです。

テレアポして、初めて担当者(または経営者)と会話ができただけで、大きな収穫なのです。アポが取れなくても、大きな収穫なのです。なぜなら、この会話を突破口にして、さらに相手に食い込んでいけるからです。今はアポが取れなくても、数ヶ月後にはアポが取れるし、数年後には受注できるのです。最初の会話は「タネ」です。このタネを、少しずつ育てると「案件」になります。そして「受注」という果実を刈り取るのです。営業マンの能力や、会社の規模、商品の優劣も確かに重要です。しかし、それ以上に、タイミングが合わないとどうしようもないのです。

担当者から、「間に合っています」「けっこうです」と断られたとしても、本当のノーではないのです。ただ、タイミングが合わなかっただけ、そう解釈しましょう。本当のNOとは、例えば「社内の広報部で全てデザインを制作している(だから御社に発注できない)」「クルマの購入は、グループ企業から買わないといけない(だから御社からクルマを買えない)」や、「社長のお子さんが働いているから、保険はあの会社でないといけない(だから君から保険は買えない)」といった事例です。大人の事情、つまりビジネス上の事情は、手の打ちようがありません。こういう場合は、諦めてリストから消しましょう。

テレアポをする時、一方的に話さないように気をつけましょう。クドクドと説明されても、まくしたてるように一方的にPRされても、相手にとっては迷惑です。以前、テレアポ会社で働いた時に配られた台本の話をしました。思い出して欲しいのですが、この時の台本は「ゆっくり話しても30秒で終わるくらい」短い台本だったのです。どんなに長くても60秒以内で、簡潔にPRしましょう。そして早めに「実績など持参しますので、ご挨拶で訪問させてください」と要望を伝えましょう。

その後で、相手がどんな反応をするか。相手の反応こそが、重要なのです。結果としてアポが取れれば最高ですが、アポがとれなくても、一歩前進なのです。心から感謝して電話を切りましょう。そしてリストに、会話の内容をメモしておきましょう。そして3ヶ月~4ヶ月おきに電話をするのです。これを続ければ、相手はあなたに厚意を持ちます。「熱心な営業マンだな。いつも自分を気にかけてくれるな。何か案件があったら、彼にも声をかけてやろう」と思ってくれるのです。こういう関係性を、電話一本で構築できるのが、テレアポの魅力であり、醍醐味なのです。