皆さん、おはようございます。【自衛官(公務員)のための営業職入門】も14日目となりました。本日は第3章「テレアポの成否は準備で決まる」の二回目です。民間企業で最も評価されると言っても過言ではない、新規営業。そのために必須と言えるスキルが、テレアポですが、断られることも多く、あたかも「自分の人格を否定された」ように感じてしまい、テレアポが大嫌い、ひいては営業職が大嫌いとなってしまった人もたくさんいます。しかし、テレアポは準備次第で、気楽に継続することができるのです。

その準備とは、台本・リスト・環境の3つです。今日は最も重要と言える「リスト」について書きます。テレアポが苦手な人ほど、リストを用意せずにやみくもに電話をしているのです。まずアポが取れない事例を紹介しますので、反面教師にしてください。

これは、私がデザイン会社に転職した直後のエピソードです。私は1週間だけ、本社で研修を受けました。私の近くの席では、10人くらいの新卒社員が電話をしていたのですが、私は当初、彼らがテレアポをしていると気付かなかったのです。なぜなら、彼らはずっとパソコンをカタカタとさわっており、電話をかけるのは20分に1回でした。私が知っているテレアポとあまりにかけ離れていたのです。彼らはWEBで検索しながら、テレアポする企業を探し、「どんなことを言おうかな」と考えながら企業WEBサイトを眺めていました。勇気を出してテレアポをしても「結構です」と言われ、その度に落ち込み、次の会社のWEBサイトを眺めていました。そして頻繁にトイレ休憩に行っていました。これではメンタルが疲弊し、テレアポが嫌いになっても仕方がないと思います。彼らには、テレアポに必須のリストも台本もなかったのです。

私は転職したばかりでしたが、彼らにテレアポのやり方を教えることにしました。彼らの前でリストを作り、台本を作り、実際にテレアポをやって見せました。そして1時間以内にアポイントが取れたのですが、新卒社員は「え!テレアポって、意外と簡単なんですね!」と驚いていました。

リストは新規営業の必須アイテムです。リストを自力で作れるようになれば、業界も商材もエリアも問わず、いつでもどこでもテレアポができるようになります。それでは、リストは何の役に立つのでしょうか?テレアポにおいてリストを作る目的、それは「効率化」「進捗管理」「メンタル安定」のためです。効率化とは「数を追求」することであり、進捗管理は「質を向上」させるためであり、そしてメンタル安定は「継続してテレアポに成功する」ために最も大切な要素であります。

①効率化・・・リストがあれば、それを見ながら順番に電話をかけることができます。電話をかけることだけに集中することができ、単純により多くのテレアポができます。テレアポとは、そして営業とは、「確率の世界」なのです。運も実力のうちと言いますが、運を引き寄せるためには、まず数を打たないといけないのです。野球でも打率という言葉がありますが、これも確率です。打率うんぬんというのは結果であって、まずは打席に立って打つ努力をしなければ、活躍することができません。テレアポも、まずは数を打つことが大事です。余計なことを考えずに、テレアポに集中するためにもリストが必要なのです。

デザイン会社の事例のように、合間にいちいちWEB検索をしていたら数も稼げないし、リズムが悪くなります。テレアポにもリズムが必要なのです。リズム良く電話をかけることで、会話のキャッチボールを楽しむことができ、自分のテンションが上がってくるのです。「ランナーズ・ハイ」という言葉がありますが、実はテレアポにも「アポインターズ・ハイ」と言える時があります。

②進捗管理・・・テレアポの結果をメモしておくことも大切です。法人営業の場合は、担当者不在のことが多いです。例えば「担当者は月曜日しか事務所におりません」と言われたら、その結果をメモしておき、次の月曜日に電話をするのです。「けっこうです、間に合ってます、ガチャ」とガチャ切りされたら「ガチャ」と書く。丁寧にお断りされたら、その理由もメモしておく。担当者の名前や部署名を聞き出せれば、もちろんメモしましょう。

法人営業の場合は、本当に担当者が不在のことが多いです。「たまたま」経営者か担当者が在席している時を狙ってテレアポする、なんてことは難しいです。しかし多忙な人こそ、在席する曜日や時間帯が決まっていることが多いのです。在席する曜日や時間帯を知るだけでも大きな前進であり、テレアポ進捗を管理しながら根気よく追いかければ、どんな大企業でも必ずアポが取れます。私は鉄道会社や電力会社、プロ野球など街を代表する企業とも普通にアポイントを取っておりました。

「効率化」と「進捗管理」のどちらを優先するか悩ましい問題ですが、慣れるまではリストは紙に出力するべきです。100件~200件の見込み客リストをつくり、紙に印刷しておくのです。そして紙に結果をメモしていけば、時間もかからずリズムを崩すこともありません。自分だけがわかれば良いのですから、汚い字でも記号でも良いのです。進捗管理をしていれば、上司にテレアポの進捗を聞かれてもすぐに回答できます。例えアポが取れて無くても、「今こういう状況です」とスパッと回答すれば、上司は納得して応援してくれます。自分が改善すべき点もすぐわかります。

③メンタル管理・・・リストがあると、何よりもメンタルが安定します。テレアポでNOばかり受け取ると、くじけそうになります。「間に合ってます、ガチャ」「けっこうです、ガチャ」とガチャ切りされることは日常です。しかし、このような時こそリストが助けてくれるのです。リストを作ることで、テレアポが「確率論」であることを思い出させてくれます。

例えば、私が通販企業で生命保険のアルバイトをした時も、ノルマがありました。新人の一日のノルマは、300人の個人宅に電話して、そのうち5人の自宅に生命保険の資料を送ることでした。逆に言えば、295人から断られても良かったのです。確率で言えば60分の1で、「ほとんどの人に断られても大丈夫」と思えば、気が楽になります。個人宅にテレアポして誰も電話に取らなくても、1件のテレアポにカウントできることになっており、気楽に取り組めました。

法人営業の場合は、もっと高い確率でアポイントが取れます。復習になりますが、新規営業とは、テレアポとは、宝探しゲームなのです。上司があなたにテレアポをさせる時は、テレアポをすれば必ず案件(お宝)が出てくる、そう確信しているから部下にテレアポをさせるわけです。「必ず宝はある」つまり、かならずアポイントは取れる、そう確信するとテレアポは楽になります。リストを見ながら「これだけ電話しているから、確率論として、そろそろアポがとれる頃だな」と思うと、気が楽になります。

◎効率の良いリストの作り方

勤務先がリストを用意してくれる場合は、素直にそのリストを使いましょう。私の場合は、新規事業の立ち上げや、営業拠点の立ち上げを担当していましたので、リストすら存在しませんでした。見込み客リストが無かったので、リストを自力で作ることからスタートしました。試行錯誤ばかりで大変ですが、自分で仕事を作り出している、クリエイティブなことをしている感触があり、私は楽しんでおりました。リスト作成は各企業の営業戦略に左右されるので、唯一のルールというものはありません。業界・商材に応じて、リストを作らないといけません。

例えばデザイン会社の営業拠点を立ち上げた時は、地元の上場企業に加えて、「病床数30以上の病院」「年商10億円以上の企業」を自分でリスト化しました。WEBで検索したり、企業名簿を買って、エクセルに打ち込んでいったのです。ちなみに、病院・介護施設・幼稚園など、税金が投入される業種の場合は、県庁など役所のWEBサイトから資料をダウンロードできます。都道府県別の企業リストは書店で売っていますし、図書館で見ることもできます。意外と役に立ったのが協同組合のWEBサイトでした。例えば「※※県製菓協同組合」や「※※市運輸事業協議会」といった団体のことです。

テレアポをする前に、最低でも100社のリストを作りましょう。もしテレアポ代行業者に依頼する場合でも、300件程度のリストを要求されます。リスト作成には時間がかかりますが、丸一日、時間を投入する価値があります。リストの重要性を語り、準備させることは営業責任者の仕事だとも言えます。リストの項目は、法人名・電話番号・住所1(例;新宿区)・住所2(例;新宿2丁目)・担当者名(最初は空欄)・部署名(最初は空欄)・テレアポ進捗記入欄(1回目~3回目の欄を作っておく)。最初は法人名・電話番号・住所だけのスカスカのリストですが、このリストが埋まっていく頃には、アポイントがサクサク取れるようになります。

今日はテレアポの準備、特にリスト作成について書きました。明日以降で、台本と環境について書いていきます。