みなさん、おはようございます。【自衛官(公務員)のための営業職入門】も12日目となりました。本日は第2章「新規営業とは、知的な総合格闘技~電話・訪問・文書~」の四回目です。前回は事例を紹介しました。「電話・訪問・文書のミックス戦略で、プロ野球とのアポイントを獲得」という事例です。実際に私が体験したことをベースに、テレアポからアポイント獲得までの行動をストーリー形式で紹介しています。

第2章は「電話・訪問・文書のミックス戦略を用いることで、アポイントは簡単に取れますよ」というのが趣旨でした。前回の事例を受けて、私がどのように行動したのか解説してみます。自衛官や公務員の皆さんに、「あれ?実は新規営業って簡単なの?」と思っていただけると幸いです。

◎文書

まず文書からいきましょう。文書作成は民間よりも、自衛官(公務員)の皆様の方がお得意だと思います。新規営業のために必要となる文書は、挨拶状・実績集くらいです。挨拶状といってもA4用紙1枚で、Wordで10分で書ける程度の簡単なものです。実績集は、会社が普段用意しているもので充分です。自社が何かマスコミで取材されていたり、業界団体から表彰されているならば、その実績もペーパーにまとめておきましょう。製造業ならサンプルも持ち歩くかもしれませんね。

文書の目的は「怪しいモノではありません、まともな業者ですよ。」と安心してもらうことが目的です。携帯電話の会社や、銀行から届く資料にも挨拶状が入っていますよね。あんな感じで、地味というか、ごく普通の挨拶状で大丈夫です。

◎訪問

事例では飛び込み営業をしていますが、郵送でも良かったわけです。飛び込み営業をすれば、色々と情報を探れるし、近所の業者だというPRもできます。飛び込み営業と聞くと、難しく思うかもしれません。しかし実際は「スーツを着て、名刺と資料を持って、相手企業の窓口に行く」それだけです。営業マンが飛び込み営業やテレアポが嫌いな理由は、一つです。「結構です」と断られ続けることで、「自分の人間性を否定された」ように感じて、気が滅入るからです。この対処法というか考え方も、後日、書いていきます。

事例では「資料を届けるために」訪問しています。訪問する理由、かっこよく言えば、大義名分があるわけです。もっとも、理由(大義名分)は私が勝手に創出したわけです。「自分で大義名分を創出する」というのは、新規営業を楽に行うために重要なポイントです。なぜなら、相手が断りにくくなるからです。営業マンがアポ無しで行き、いきなり売り込みを始めようとすると嫌がられますが、「資料を届けるために来ました、すぐ帰ります。」と言うと、相手もつい「わざわざ、ありがとうございます」となるわけです。大義名分さえあれば、むげにされない、つまり営業マンとしての精神的ダメージがないわけです。

プロ野球に飛び込み営業した時は、さすがに私も緊張しました。しかし通常は「ずっと事務所にいると息苦しいな。外出したほうが気楽だから、飛び込み営業にでも行くか。」などと考えていました。飛び込み営業を、「早めにランチ食べる口実にしよう」というくらい、気楽にやれば良いのです。飛び込み営業で「なんとかしよう」と焦るから、疲弊するのです。「飛び込み営業なんだから、商談できなくて当たり前、担当者の名前だけ聞き出して、後で電話でアポを取ろう」そう割り切って訪問すると、とても気楽です。

◎電話

新規営業も日頃の商談も、相手(経営者または担当者)とアポイントを取らないと始まりません。なじみの顧客ならともかく、新規営業でメールやSNSを送っても、無視されるのが通常です。最も効率が良いので、電話をかけるのです。

やみくもにテレアポすると、受付からブロックされてしまいます。それが受付の仕事なので当然です。しかし部署名や担当者名を名指しで電話しますと、お相手につないでもらえる確率が上がります。一番最初のテレアポや、飛び込み営業は、部署名(できれば担当者名)を聞きだすことを目的と考えると、気が楽になります。

新規営業における電話テクニック(テレアポ)が、【自衛官(公務員)のための営業職入門】の根幹ですので、もう少し詳しく書きます。実際に私が電話した経緯を、時系列で書いてみます。

  • プロ野球がシーズンオフに入った、営業してみようと思い立つ
  • WEBで電話番号を検索するが見当たらない
  • NTTに電話して、代表番号を聞き出す
  • 代表番号に電話して、部署名を教えてもらう(1回目)
  • 代表電話に電話して、部署名を伝えるが、担当者が不在(2回目~4回目)
  • 訪問して文書を渡す
  • 代表番号に電話して、部署名を伝えるが、担当者が不在(5回目~6回目)
  • 代表番号に電話して、担当者と話すことができ、アポイント獲得(7回目)

1回目の電話から、アポイント獲得まで2週間ほどかかりました。相手があることですし、時間がかかるのは仕方がありません。プロ野球がシーズンオフに入り、担当者は本当に多忙だったのです。ようやく手が空いた時に、アポイントが取れました。新規営業はタイミングが命です。

◎ミックス戦略

人間は単一のことをやり続けると、なんのためにこの作業をやっているか、わからなくなります。同じケーキを作るのでも、お母さんが子供達と一緒にケーキを作る時には喜びがあります。ケーキ屋さんがお客様のためにケーキを作る時にも喜びがあります。しかし、ケーキ工場で「君はイチゴのスライス係を頼む」と言われ、朝から夕までイチゴのスライスばかりやっていると、飽きてしまって「つまらない仕事だな」と感じてしまうかもしれません。

新規営業においても、テレアポだけ、飛び込み営業だけ、メール営業だけ、同じ事をやり続けていると、うんざりします。それは当然です。私の場合は、毎朝60分と夕方の30分だけテレアポをがんばり、昼間は外回りをした「ついでに」新規を訪問し、名刺と資料を置いていく。このように行動していました。電話と訪問と文書を組み合わせることで、相互に理由(大義名分)をつくることができます。「資料を届けるために、来ました。」と言えば、飛び込み営業が楽になります。「Aさん宛てに資料を送りました、Aさんいらっしゃいますか」と電話すれば、テレアポが楽になります。電話も訪問も文書も、アポイントを取るための手段です。手段をミックスすることで、新規営業はうまくいきます。

文書作成や、色々な人と面談することは、自衛官(公務員)の皆さんも日常的に行っていらっしゃると思います。自衛隊や官庁での経験は、民間でも活きるのです。テレアポだけが異色に感じると思いますが、ストレス無くテレアポして、アポイントを量産する技術を第3章以降で詳細にお伝えしていきます。アポイントさえ取れれば営業は楽しいし、上司から評価されるのです。