みなさん、おはようございます。【自衛官(公務員)のための営業職入門】も11日目となりました。本日は第2章「新規営業とは、知的な総合格闘技~電話・訪問・文書~」の三回目です。抽象的なことばかり書いていると退屈かと思いますので、今日は「プロ野球への新規営業」という事例を書きます。テレアポ・飛び込み営業からスタートし、2年2ヶ月かかりましたが、受注できた事例です。

事実に基づいておりますが、かつての顧客・同僚にご迷惑をかけないようフィクションを交えております。なお私は出張・就職・進学のため、全国40都道府県ほど行った経験があります。住民票も西へ東へ何度も変更しております。球団名については皆様のご想像にお任せしますが、私が福岡出身だからといって「あの球団か」と決めつけないようにお願いします。

それでは、事例に入ります。今日のブログは、事例紹介だけです。

事例紹介「電話・訪問・文書のミックス戦略で、プロ野球とのアポイントを獲得」

デザイン会社に転職して5ヶ月目のことでした。私はプロ野球に営業に行こうと思い立ちました。プロ野球は、街を代表する有名企業です。通常、プロスポーツには大手広告代理店が出入りしています。デザイン会社とプロ野球が直接取引をするケースは珍しいかもしれません。私は大手広告代理店を(勝手に)ライバル視して、新規営業に励んでいました。

プロ野球に限らず、電力会社や鉄道会社など、日本を代表する大企業にテレアポする時に最初にぶつかる壁。それは「そもそも、どこに電話すればいいのか、わからない」という悩みです。WEBで検索しても電話番号さえ書いていない場合があります。私はNTTで確認して、某プロ野球の代表番号に電話をかけました。

私「地元のデザイン会社のものです。私も野球ファンでして、いつも応援しています。デザイン会社として、いろいろとご提案させていただきたいので、担当の部署につないでいただけますか。」

代表受付「担当部署に確認致します。・・・申し訳ありません。あいにく担当者は全員、外出しております。」 

私「そうですよね、お忙しい所、申し訳ありませんでした。後日、改めます。・・・ちなみに、部署名だけ、教えていただけませんか?」 

代表受付「部署は、※※部です。」

私「ありがとうございました。」

初回テレアポで担当者不在と言われた場合、あっさり切るフリをする。この作戦は有効です。相手を油断させておいて、「ちなみに部署名(または担当者名)だけ、教えてください」と聞く、これで教えてくれる確率が大幅にアップします。

その後、日時を改めながら3回ほど電話しますが、いつも担当者不在でした。あとで聞くと、本当に繁忙期で、居留守ではありませんでした。

部署名さえわかれば、一歩前進です。突破口を見つけたような感じです。何度か電話した後、「テレアポだけでは、いつになったら担当者に会えるかわからないな。飛び込みで訪問しよう。そして手紙を残していこう。」そう思いました。早く確実にアポイントを取るために、先に資料を渡す作戦です。新規営業の極意は、テレアポ&飛び込み&手紙、つまり電話・訪問・文書のミックス戦略です。知的な総合格闘技だと思っています。テレアポ術、飛び込み術、手紙の書き方、それぞれ何冊も本があり、私も購入して実践してきました。

さっそく手紙を書きます。A4用紙で1枚、WORDで書きました。手紙の宛名は「※※部ご担当者様」、これで届きます。そしてデザイン会社の制作実績を豊富に付け加えました。相手が興味を持つ、つまりスポーツや商業施設の実績をセレクトしました。手紙と実績をセットにして、透明なPP袋に入れます。飛び込み営業の準備はこれだけです。

この時の訪問目的は、「資料と名刺を渡すこと」これだけです。実際に飛び込み営業に行くと担当者本人は不在でしたが、社員に資料を預けることができました。手紙を添えていますので、これで確実に担当者の手元に届きます。飛び込み営業にも色々とお伝えしたいテクニックがあるのですが、詳細は後日、別の章で書きます。

飛び込み営業も、資料を届けるのも、すべてはアポイントをとるための「仕込み」です。わざわざ資料(手紙と実績)を届けるのは、一見ムダに見えますが、これが重要な「仕込み」となるのです。資料を届ける行為から、「フットワークの軽い=使いやすい業者」「行動力」「近い」という印象をPRできます。そしてWEBサイトに誘導することで「まともな会社だな」「ちゃんと実績もあるな」「手駒に加えていても損はないかな」と安心してもらえます。発注サイドで考えれば、「使いやすい」「実績がある」「近い」というポイントは重要です。誰だって「返事が遅く、遠くて、実績もない」業者とは取引をしたくないですよね。

飛び込み営業をした日の夕方、さっそく電話しましたが不在でした。翌朝も不在で、夕方にようやく担当者につながりました。電話の保留音の間、自分がツバを飲み込む音がゴクリと聞こえます。「手間をかけたし、相手はプロ野球だ。ぜひアポイントが欲しい、失敗したくない。」と思うと、余計に緊張します。私は普段、テレアポする時は、ゆっくり低い声で話すように意識しています。早口や高い声で話すと、途端に営業くさく感じるからです。保留音が終わり、担当者と電話がつながりました。

私「はじめまして。お近くのデザイン会社の者で、大高と申します。いつも応援しています。何度かお電話させていただきまして、昨日は資料をお届けさせていただきました。御社の【お年寄りのファンの集客】に役立つようなご提案を、させていただきたいのですが。まずはご挨拶で訪問させていただけないかと思いまして・・・」

担当者「資料は拝見しました。いいですよ、会いましょう。いつ来ます?」

これで無事に、プロ野球※※部の担当者とアポイントを取ることができました。

もっとも、この段階では、案件があるのか無いのか、わかりません。名刺交換が目的の「ご挨拶アポ」です。余談ですが、新規開拓ができない上司に限って「ご挨拶アポはダメだ、電話で案件がないか聞け」と言うそうです。私は、そんなことはないと信じています。例え時間がかかっても、ご挨拶アポから受注につながった例は、いくらでもあります。

なお、私のブログで「今すぐ案件」のことも書いておりますが、プロ野球のような大企業になるとライバルも非常に多いため、最初から「今すぐ案件」を狙うことは現実的ではありません。長期戦を覚悟して、根気強く、がんばりましょう。

ちなみに、テレアポをする時、受付と担当者では、話す内容が多少異なります。受付と話す場合は、担当者に代わってもらうことが目的なので、具体的な内容を話す必要はありません。しかし、担当者には必ず具体的なメリットを伝えることが必要です。先ほど【お年寄りのファンの集客】と書きましたが、このプロ野球チームがお年寄りファンの集客を重視しているのか、それはわかりませんでした。ギャンブルだったとも言えます。ただ、ライバルとなる広告代理店・デザイン会社は無数に存在します。なにか当社のウリを強調しないとアポイントにつながりにくい、経験上そう思ったのです。もし、お年寄り向けデザインに需要がなかった場合は、日を改めて、別の角度から提案すれば良いのです。様々な部署に、様々な角度から提案できるのが、法人営業の楽しさなのです。