皆さん、おはようございます。【自衛官(公務員)のための営業職入門】を書き始めて、今日で7日目です。1週間連続でブログを書き進めることができて、嬉しく思います。本日の投稿は「第1章 法人営業で求められるもの~なぜ営業マンは存在するのか~」の3回目となります。

本日のテーマは「営業ノルマ」です。正直なところ、私は「ノルマ」という言葉は、嫌いです。皆さんもきっと、お嫌いですよね?

自衛官(公務員)の皆さんも、「営業マンには、どうやら営業ノルマというものがあるらしい。」ということはご存じだと思います。「営業ノルマを達成できないと、クビになるらしい。民間は怖いな。」と同僚と語り合ったことがあるかもしれません。しかし、たとえノルマを達成できなくとも、やみくもにクビにされるわけではありません。営業ノルマの本質を知ることで、民間企業や営業職について理解を深めていただけますと幸いです。ちなみに、「ノルマ」という言葉は営業職から嫌われるので、「営業目標」という言葉を使う企業も多いです。

もし、自衛官(公務員)の皆さんが営業職に従事することになった場合、最初の数ヶ月間~1年は見習い期間として、ノルマが免除されることでしょう。しかし、ある程度慣れてきたら、やはり営業ノルマが設定されると思います。営業ノルマを過度に恐れず、営業職ライフを満喫できるように、考え方のコツを書いていきます。

営業ノルマがしんどくなった時、乗り切るコツを二つ、お伝えします。一つ目は、「全体像を把握せよ」です。二つ目は、「上司の武勇伝を聞け」です。

一つ目「全体像を把握せよ」からお伝えします。もう少し詳しく言いますと、営業職として必要とされる役割を把握し、知識を身につけようということです。更に言えば、同僚や自社のことをしっかり学ぼう、ということです。

転職した当初は緊張していても、ある程度慣れてくると、自分が担当する商品・サービスがなんだか、ちっぽけなものに見えてくるかもしれません。国防を担っていた自衛官や、国民のため自治体のためと頑張ってきた公務員の方々にとって、いち民間企業の商品・サービスが小さく頼りなく見えるのは、仕方が無いことだと思います。

そして、これはベテランでも同じですが、営業ノルマでしんどい時は、自分が担当する商品・サービス、エリアや顧客に不満がいきがちです。ベテラン営業マンにも、スランプの時はあるのです。知識を身につけようと思っても、こういう時は、なかなか身が入りません。

営業ノルマがしんどい時は、同僚に思いを馳せましょう。おなじ勤務先で働く人達は、「同じ釜のメシを喰っている仲間」です。社内で気楽に雑談できる人が増えれば、勤務先にも仕事にも愛着が湧き、「よし、自分が売上を上げてやろう!」とやる気も出てきます。

私が、営業ノルマに対して前向きに考えられるようになったのは、30代前半の頃でした。工場長との会話が、きっかけでした。この頃はメーカーで働いていたのですが、よく工場長から飲みに誘われていました。ある日、営業ノルマでキリキリしていた私は、工場長にグチをこぼしました。「ああ、営業ノルマさえなければ、営業は楽しいのになあ・・・」と。

工場長は人徳ある方で、お説教するタイプの人ではないのですが、この時はビールを飲むのを中断して、こう言われました。「営業は売るのが仕事だし、製造はつくるのが仕事だよ。製造だって、納期や品質管理がなければ楽しい仕事だよ。ノルマがない仕事はないんだよ。」

その後、私はよく考えました。私は当時、けっこう無茶な納期を、工場長にお願いしていたのです。工場長からかわいがられているのを良いことに、彼に甘えていたのです。営業が無茶な納期をリクエストして、工場長が安易に「イエス」と言うと、製造部のだれかが残業することになるという現実に、ようやく気がつきました。製造部の人も、工場長も、文句一つ言わずに、私のリクエストに応えてくれていたのです。

それ以来、私は「後の工程はお客様」だと意識するようになりました。それまでは工場長としか話をしていなかったのですが、私は一人ひとりの製造スタッフと、雑談する時間を増やしました。そうすると、家庭のこと、子供の教育費のこと、住宅ローンのこと、家族の病気のこと等、いろんな話を聞けました。彼らの名前をフルネームで覚え、家族構成や悩みを知ると、「ああ、彼らのために、自分も頑張ろう。自分が頑張れば、会社の売上があがる、そうすれば彼らも潤う。」という気持ちになり、営業をがんばろう!という気持ちになりました。

同僚と雑談することで、自社商品について理解が深まりました。すると、顧客に対して一歩踏み込んだ提案ができるようになり、顧客から信頼されるようになりました。気がつけば営業のスランプも解消され、上司や社長からも評価されるようになりました。皆さんも、もし将来、営業ノルマやスランプに悩んだ時は、社内の人達とたくさん雑談して欲しいと思います。きっと、突破口が見えてくると思います。

営業ノルマで苦しんだ時、二つ目のコツ「上司の武勇伝を聞け」にいきます。

これは、文字通り、社長や上司の武勇伝を聞きましょう、というアドバイスです。武勇伝といっても、「若い頃はやんちゃだった」とかそういう話題ではなくて、経営や営業に関する武勇伝です。経営者や営業部長は、新規営業もトラブル処理も、山のように経験しているはずです。彼らも昔話をしたいけれど、部下から嫌われるのも嫌だから、語るのを控えているのです。

あなたが将来、営業ノルマで苦しみ、スランプで苦しんでいる時は、素直になって、社長や営業部長に相談してみましょう。「社長、すみません、最近うまくいかなくて・・・社長は若い頃、営業をしていたそうですが、不調の時はどうやって乗り切ったんですか?・・・そういえば、この会社の顧客は、どうやって獲得したんですか?」と聞いてみましょう。きっと彼らは、喜んで居酒屋の個室を予約し、ニコニコしながら武勇伝を語ってくれるでしょう。あなたは、お世辞抜きで「うちの社長、うちの営業部長、すごい人だったんだな!」と感嘆することでしょう。社長も営業部長も、ノルマを達成できないあなたを責めるどころか、「君は見込みがある、がんばってくれ、期待しているぞ」と激励してくれることでしょう。

なぜ激励されるのか、それは営業マンの本質を考えるとわかります。営業職とは、経営者または営業部長の優秀なコピーを目指すべきなのです。昔「パーマン」というアニメがあり、コピーロボットというのがありました。経営者や営業部長は、彼らの強烈で優秀な営業スキルを、営業マンにコピーしたい、そういう人達なのです。アニメと違って人間は、能力のコピーなんかできません。それに営業マンは、しょっちゅう外出していて管理するのも難しい。一方で固定給を払っているんだから、毎月ちゃんと売上をあげて欲しい。こうした理由から、営業ノルマが設定されていると言えます。

これは前回の復習となりますが、そもそもなぜ営業マンが存在するのか、それは売上をあげるためです。「売上」を、もっとダイレクトに表現すれば、現金(キャッシュ)です。なぜ企業には現金が必要なのか、それは納税・給与支払・外部への支払で、必要になるからでした。経営者の立場で考えてみますと、毎月多額の現金が必要となります。「毎月の支払金額を考えると頭が痛い」という経営者は多いです。

そもそも、経営者という人達は、「ノルマを与えるために」営業職を雇っているわけではありません。「企業を発展させるために」営業職を雇っているのです。

これも前回の復習ですが、企業が営業マンを雇うということは、その企業は「勝ちパターン」を持っているのです。営業のスランプや、営業ノルマで苦しんでいる時、やるべきことは自社の「勝ちパターン」を知ることです。

勝ちパターンを知るには、自社の実績を見ればよいのです。しんどい時こそ、過去の実績を読み込み、分析しましょう。分析といっても難しいことはありません。隣に座っている上司や先輩に、「この実績すごいですね。どうやって仕事を獲得したんですか?」と聞くだけです。上司や先輩も、ニコニコしながら武勇伝を語ってくれるでしょう。あなたは忘れずに、「いや、先輩、本当にすごいです。もう本当に勉強になります。自分もがんばります!!・・・もっと勉強したいので、この時の企画書と見積書を、僕にメールしていただけませんか?」とお願いしましょう。こうして集めた企画書と見積書が、あなたの武器となり、血肉となります。

以上、一つ目のコツ「全体像を把握せよ」と二つ目のコツ「上司の武勇伝を聞け」について書いてきました。営業ノルマやスランプで悩んだ時、「社内の人達と雑談して、知識をリフレッシュする。」というのが、最も有効であると思います。

ふと考えてみますと、自衛官(公務員)の皆様も、数字に追われている側面があるのだと思います。自衛隊で言えば、練度を維持するために、様々な目標が設定されていることだと推察致します。また税務署職員や交通取締にもノルマがあると聞きますし、私が思っている以上に、国家公務員・地方公務員の皆さんもノルマ(数字)に追われていらっしゃるのかもしれません。官庁も民間も、仕事が大変なのはお互い様であるかと思います。皆様、いつも本当に御苦労様です。